カリウムは通常体内に200gほどあり、生きる上で欠かせない存在です。あらゆる細胞の、正常な働きを助けています。具体的にどんな働きをしているかと言うと、体内の水分を一定に保つ働きがあります。
簡単に説明しますと、カリウムは細胞の内液や外液に存在しており、ナトリウムとうまくバランスを取りながら、脱水症状を起こさないように細胞の回りを行き来しているのです。そのため、カリウムとナトリウムはセットなのだと考えて良いでしょう。
つまり、どちらかが多すぎてもどちらかが少なすぎても、うまく作用しないということになります。このセットは、高血圧を防ぐとも言われ、大変注目を集めています。カリウムは、ナトリウムが尿として排出されるのを促す働きを持っており、これによって高血圧予防に良いとされています。
カリウムの過剰摂取は危険
高カリウム血症という言葉をご存知でしょうか。カリウムは、腎臓の機能が正常に働いている場合は、摂りすぎて病気になるような危険性はあまり考えられません。尿として、体外に排出されるからです。
しかし、この腎臓の機能が低下していると高カリウム血症になってしまう危険性があります。高カリウム血症とは恐ろしい病気で、嘔吐やしびれ、脱力感などの筋肉や神経に現れる症状、不整脈などが主な症状です。
カリウムの値が高くなればなるほど症状が強く表れ、心停止の危険もあります。血液中のカリウム濃度を測り診断できますので、症状や思い当たる事がある場合には一度専門医の診察をお勧めします。
足のつりとカリウムの関係
汗をかいたり、運動をしたり、体内のミネラルが不足したりバランスを崩す時に、足がつりやすくなると言われています。例えば、炎天下の中サッカーやテニスを楽しんでいたら、急にふくらはぎに激痛を感じたという経験はありませんか?こむら返りです。
原因は、体内にあるナトリウム、カリウム、カルシウムなどが汗と共に体外に排出され、不足しているからなのです。水分を失った体はどうなるのでしょうか。
血液がドロドロになり、血管が詰まりやすくなったり(血行不良)、足の筋肉が収縮しやすくなったり(足のつりの直接的原因)します。しかしそんな状態でも、先ほどご説明した通り、カリウムは水分量を一定に保ち、脱水症状にならないようにしてくれる働きを持っています。
そのため、すぐに脱水にはならずに済む、足のつりも起こしにくくしてくれるというわけです。ただ、カリウムも不足してしまえば働けなくなりますので、電解質の崩れを防ぐためにも、スポーツの際はこまめにスポーツドリンクや経口補水液を摂るようにしましょう。その際、使用量はきちんと守ってくださいね。
カリウム不足で起こる症状
カリウムは、実は筋肉とも密接なつながりを持っていて、不足するとコントロールできなくなり、力が出ない、入らない、といった症状を引き起こします。これが倦怠感です。
心臓の働きや、末梢血管を制御できなくなり、心臓の働きが弱まると、全身に血液を送る事が困難になり、結果貧血気味になります。心臓の働きが鈍くなることにより、心拍も安定せず、不整脈になることもあります。
腎臓機能が低下してしまうと、様々な問題を引き起こします。尿が出にくくなれば、体にとって不要なものが残ってしまい過剰摂取をしたような状態になったり、高血圧になったりもします。水分を排出できず、むくみの原因にもなります。
水分量をコントロールしているカリウムが不足すれば、当然水分不足による便秘という症状も考えられます。では、そんな状態に陥らないため、カリウムを摂取する方法を見ていきましょう。
食事でカリウムを摂取する
カリウムは、実は自然界にある食物にまんべんなく含まれているミネラルです。特に野菜や果物、豆類に含まれています。私たちが、毎日でも簡単にとれるものとしては、野菜であればほうれん草に多く含まれており、豆類であれば納豆、里芋などの芋類にも含まれています。
また、昆布やわかめ、ひじきやあおさなどの海藻類にも含まれています。どんなミネラルについても一汁三菜が基本で、それを意識していると不足しにくいと言えるのかもしれません。
カリウムの食べ合わせ
カリウムの素晴らしいところは、塩分の多い食事と一緒に食べることで塩分の過剰摂取を抑えてくれる点にあります。塩辛いものが食べたいと感じた時には、ぜひカリウムの存在を思い出してください。
例えば、生ハムを食べる時には、カリウムが豊富に含まれる食品であるアボガドをプラスしてみてください。カップラーメンには、ほうれん草を入れてみてください。
実は、肉料理にも良いとされています。肉を食べる時は、生野菜を付け合わせると消化を助けてくれると言いますが、実はカリウムが含まれているひじきなどを付け合わせた方が良いと注目を集めています。
このように、カリウムは便利屋のような存在で、塩分を排出してくれたり、消化を助けてくれたりと、体内で欠かせない存在と言えるでしょう。
まとめ
カリウムは何となく地味で、特に注目すべき栄養素ではないというイメージがあるかもしれませんが、なくてはならない栄養素でもあります。
足のつりやこむら返りだけでなく、様々な症状を引き起こすカリウム不足に注意すると共に、健康のために今までよりも積極的にカリウム摂取をお勧めします。付け合わせには、カリウムを思い出してください。